興正こども家庭支援センター
取り組み内容、寄付金の使途、思い
①食に関する支援(10万円)
②ネットワーク構築に関する支援(30万円)をお受けしました。①食に関する支援 (サンドイッチのランチBOX 1食1000円)
【取り組み1】
2020年12月中旬からDV被害者支援を行っている特定非営利活動法人「女のスペース・おん」
https://www.onnano-space-on.or.jp/ と協働し、DV被害母子家庭へサンドイッチのランチボックスの配布を行った。「女のスペース・おん」ではDVシェルターを運用しており相談受理からシェルターの活用、その後の離婚や行政手続等のサポート、そして新たな生活を立て直しへの伴走的支援を行っている。被害を受けた母子はトラウマを抱えながら厳しい環境変化に直面しなければならない。そのような生活が一変してしまった家族にとって今年はコロナ禍でさらに過酷な状況になっている。今回の食支援はクリスマス、年末時期とも重なりとても喜んでくださっていた。今後、DV目撃を始め被虐待経験のある子どもと、それを支える母への支援について当センターが関わっていく予定である。48食
【取り組み2】
第2期から引き続き、公益財団法人さっぽろ青少年女性活動協会が運営している家庭に居場所がなく、いつも一人で食事をとっている子ども達に対し展開しているアウトリーチ型事業「10代みんなのカフェ部」と同協会が今年度より取り組む、子どもの居場所つくり事業と連携し、子ども・若者・子育て中の親にとってみんなが頼れる実家のような居場所づくりを目指して開設された「いとこん家」を利用している若年シングルマザーを中心にサンドイッチを主としたランチBOXを提供した。38食
【取り組み3】
札幌市が展開している困りごとや悩みを抱えている子どもや家庭を早期に把握し必要な支援につなげる「子どものくらし支援コーディネート事業」では、「子どもコーディネーター」が児童会館や子ども食堂などの子どもの居場所を巡回して、お子さんやご家族、まわりの方々から相談を受け、困りごとをともに考えながら適切な支援につなげている。
興正こども支援センターがある札幌市北区担当の子どもコーディネーターと連携し、貧困やひとり親、子どもへの関わり方に悩むなど子育て困難を抱える家庭にサンドイッチを主としたランチBOXを提供し、地域の子育て相談機関があることをお伝えした。その後、コーディネーターや学校、児童会館と共に連携し支援が始まっているケースも複数ある。16食
②ネットワーク構築に関する支援(30万円)
【取り組み1 今後の計画につきまして 】
当初、地域の子ども支援を行う機関との研修会や交流会の企画を検討していたが、札幌市におけるコロナ感染状況の悪化により開催の見通しが立たない状況となった。
そこで、第2期でも取り上げた、SOSを出しにくい子育て困難を抱えている養育者のような「つながりにくい」要支援家庭と接点のある、支援機関や支援者とのネットワーク構築に視点をあて、従来の支援だけではキャッチしにくかった対象者への支援方法を探った。
札幌市内にある無認可保育園ペンタゴンは、繁華街であるすすきの地区に隣接し、24時間保育を行っている。利用者の4割強は20代までの若い母親で、母子家庭の割合は約6割である。経済的に苦しい家庭も多く、保育園も認可保育園として運営できるギリギリまで下げた料金設定にしているというが、滞納してしまう保護者も多いという。経済的にも日々の生活にも余裕のない保護者は多く、子どもへの関わり方や食事に関してもマルトリートメントが伺われることも多いとのこと。保護者も、現状を改善しようとはするが、保護者自身の子ども時代の経験から行政(児童相談所や保健センター)への不信感を抱き、支援に消極的な方も珍しくはないという。ペンタゴンとしては、保護者支援にも力を入れできるだけサポートを行っているが、保育園の枠組みで出来ることにも限界があり、虐待相談や、発達に関わる相談を多く受けている当センターとの連携を望んでいる。
ラポールの取れている保育園からの紹介ということ、そして気軽な食支援というきっかけで、支援に消極的な背景をもつ保護者のSOSをキャッチし適切な支援につなげていきたいと考えている。2月下旬に保育園と協議し、実際の支援の枠組みを決めていく予定である。食支援の期間は2021.3月~5月を目途としている。
ネットワーク構築の視点で考えると、研修会や交流会の開催はマクロ(メゾ)視点でのネットワーク構築と言える。一方、1つのケースに対し支援方法を共に模索しながら役割を分担し中~長期的に支援を行っていくことはミクロ視点でのネットワークを形成していくと考えている。例えば、改善への見通しが不透明な時にも率直な意見交換を続けられる関係が、価値観や視点の違いによる溝を埋め、相互に支え合う「横のネットワーク」を形成する。このような連携を繰り返していくとやがては地域ネットワークの育みにつながると思う。それは子育て困難を抱える親子を支え、私たち支援者を孤立や疲弊から守るネットにもなり、また、SOSが見過ごされ地域の中で孤立している家族とつながるための手がかりにもなりえる。このような形でのネットワーク構築を目指していきたいと考えている。